都市木造分科会 議事録
議事録テンプレート

日時:****年****月****日 17:00~
会場:****

1.****
・ ************

2.****
・ ************

次回 ****年****月****日 17:00~
以上(記録:****)

日時:2024年4月16 日 18:00~19:30

日時:2024年4月16日 18:00~19:30
会場:JSCA関西事務所 Zoom会議
出席者:10名

  1. プロジェクト紹介

プロジェクト名:某大学建物

・ GIC(ホームコネクター)を使った半剛接ラーメン木造の紹介

・ 1仕口1方向半剛接ラーメン、建物として2方向ラーメンの工夫

・ 大分県産材スギを、九州同一森林圏内で、集成材に製作して加工して施工

・ 九州内で製作できる集成材で設計するため、幅150mm断面限定して、柱・梁とも必・要断面を賄うため、2材または3材の合わせ材として設計した。

・ 製材には、施工後の乾燥割れを回避するため、高周波蒸気複合乾燥を採用

 

  1. 今後の活動日程について

原則第2火曜日として、今年度の開催日時を決めた。また活動時間は、育児中の人の参加も促すことなどを鑑みて、16:00を原則とすることとした。1回の時間は1時間半程度とし、テーマによって調整する。

第2回     7月    9日(火)     16:00~ @JSCA関西事務所

第3回     10月  15日(火)    16:00~ @JSCA関西事務所

第4回     1月    14日(火)    16:00~ @JSCA関西事務所

 

  1. 今年度の活動内容について

興味のあるテーマ、知りたいことなどをフリーディスカッションした。まず、都市木造にかかわる材料を毎回のテーマに活動するとした場合に、出た意見を以下に列挙する。

・ 材料といえば、木材料、防耐火、金物、乾燥方法、塗料などについて知りたい。

・ 木材料については、まず集成材について、最近、銘建工業さんが販売を始められた、比較的安価な大断面集成材について知りたい。大断面材のラインナップ、接着剤、仕様環境、耐久性などが知りたい。

・ 防耐火については、最新のトピックとして、内部階段の木造化が可能になったなどの規制緩和について知りたい。

・ 塗料については、耐久性の高い塗料などを知りたい。最近オシロックスが外部用の耐久性の高い塗料を開発したと聞いた。

・ 乾燥方法については、研究者の方に、講演をお願いしてはどうか。(乾燥に詳しい製材工場や、乾燥機メーカーにお願いする可能性もあり)

・ 金物については、既製品金物の製造会社は非常に多いが、都市木造用としては、ラーメン仕口金物など特殊な金物を作っているストローグの金物について知りたい。

・ ストローグに話をきくなら、自社ビルの説明も合わせて聞きたい。

 

材料以外では下記のような活動の希望があった。

・プロジェクト紹介(立候補制、または、聞きたいプロジェクトがあれば依頼)

・森を見に行きたい。竹中工務店の川西市の「匠の森」に興味がある。

・森といえば、奈良県の吉野の森なら奈良県にお願いしたら、見られる可能性がある。

・真庭市でも見られるところがある。銘建工業にお願いすれば見られる可能性がある。

・大阪工業大学の瀧野先生に講演を依頼するのもある。大学の講義も材料に関して興味深い授業をされている。

 

以上より、今年度の第2回は銘建工業さんに依頼する(依頼者:須賀)。第3回・第4回では、金物:ストローグ(依頼者:荒木)、防耐火:早稲田大学安井先生(依頼者:須賀)に依頼する。

 

  1. その他

・ 分科会にフォルダーが用意されている。フォルダーについては、の吉田技術委員長に確認する。(確認者:須賀)

・ 議事録の格納についても、吉田技術委員長に確認する。(確認者:須賀)

以上(記録:須賀)

日時:2024年7月9 日 16:00~17:30

日時:2024年7月9日 16:00~17:30
会場:一般社団法人JSCA関西支部 ZOOM

出席者:12名

1.大断面集成材について

講師:銘建工業株式会社 宮竹靖様

【ご発表】

・銘建工業で加工・施工を行った近年の事例、加工機の種類と特徴、等をご紹介頂いた。

・木造とびは5階建てまでで夜間作業はやらない傾向がある。鉄骨造と木造の混構造では、鉄骨とびでも施工が出来るよう、木に金物を予め仕込んで鉄骨との接合のみで施工出来るのが望ましい。ただし、金物を仕込むと輸送効率が低下する。

・加工機が各種データを扱えるようになったことで、同業他社と連携して加工出来るようになった。

・プレカットは特殊加工機に比べて加工が圧倒的に速いため、1~3階の低層非住宅はプレカット業界が参入しやすい。

【質疑応答】

質疑 回答
製品の加工をスムーズに行うために、設計者が出来ることは。例えばBIMは有効か。

 

設計図から加工図に書き写す2度手間と、書き写しによるヒューマンエラーで時間がとられる。その解消にはBIMが有効。設計段階で設計者がBIMデータを作り、設計図から加工図まで同じBIMデータが流れていくのが理想。

設計では3Dで形を作り、干渉チェック。接合部まで全体モデルに入れるとデータが重くなるので入れなくてよい。

加工ではそのデータから部品を取り出し、接合部のデータ(加工データ)を入れる。

課題は、加工データをBIMに返すこと、さらにBIM承認のシステムを作ること。

単品の部品図のチェックまで必要だと考えるか。 はじめに接合部のルール化を承認してもらう。

そのルールで作ったデータで加工すれば、単品の部品図のチェックまでは不要だと考えられる。

木造の場合、鉄骨とは違い、承認前に作り始める傾向がある。現場の進め方について、木造業界のスタンダードはあるか。 大工の知識と経験に頼る場合があり、スタンダードがないので、現場ごとに作る。つまり構造図をもとにルール化し、分担する加工業者で役割を明確に決める。これをやらないと、ヒューマンエラーが起き、納期がぐちゃぐちゃになる。

基本は承認されてから作り始めるが、納期と図面チェックのバランスが悪いときには、判断して作り始めることもある。

BIMでのモデル承認では基準からの孔位置などのチェックができないのでは。 基準化、量産化できるものは可能。1つ1つ接合部が違う複雑なものは難しい。
BIMで寸法を測ってチェックするのでは、測る手間がかかるのと、どこまでチェックしたのかが分からなくなるため、チェック用に2Dの図面もほしい。 3Dから2Dを作ることはできるが、2Dから3Dを作ることはできない、という意味で、BIMで3Dを作る意義がある。3Dから自動で2Dの図面化するシステムができると、よりスムーズに進められる。システムを作るには需要が必要で、市場を拡大することが重要。
集成材の接着剤について 水性高分子イソシアネート系接着剤

→安くて速い。大量生産向き。

水には弱くない(試験すると使用環境A相当の性能を発揮する)が、蒸されると弱い。メンブレン型耐火木造で用いる石こうボードは加熱により水分が出ることで木が燃えない仕組みだが、枚数が増えると内部の集成材が蒸された状態になるため、技術的助言ではレゾルシノールの使用が推奨されている。

レゾルシノール・フェノール系樹脂接着剤

→高くて時間がかかるが水に強い。少量多品種向き。

最近は、水性高分子イソシアネート系の特殊サイズを量産化し始めている。

2.その他

来年1月14日に予定している第4回分科会は拡大分科会として、安井先生に最新の耐火事情についてお話を頂く方向で調整する。

次回 2024年10月15日 16:00~@JSCA関西事務
以上(記録:荒木)

日時:2025年1月14日15:00~17:20 拡大分科会

日時:2025年1月14日15:00~17:20

会場:竹中工務店大阪本店 4階 401号会議室

出席者35名 現地開催のみ

内容:木造防火法令の改正とこれからの木造建築物

構造設計者のための木造建築の防耐火 ~最新の木造耐火に関する規制緩和~

講師:安井 昇 様(桜設計集団代表・早稲田大学招聘研究員・NPO法人team Timberize理事長)

講演動画・配布資料

1.開催挨拶(JSCA関西技術委員長 吉田 聡様)
・ JSCA関西技術委員会について

2.ご講演(安井 昇先生)

  • 最近の容易に消火できなかった大きな火事の共通の特徴は、壁や天井が木質仕上げであったこと。壁や天井は可燃物であり、可燃物がたくさんあると火事は成長して消火が及ばなくなる。また、建築計画では中庭形式などで建物の裏表から消火活動ができなかったことも原因である。
  • 3階建て木造建築物の実大火災実験の燃え方の様子、結果とともにそれらを踏まえて改正された法令について解説があった。(以降主な内容を列挙する)・試験体は準耐火建築、イ準耐1時間、燃え代設計、壁天井は木質材料とした。・外装(開口部)が破損するとそこから酸素が供給され、火災が止まらなくなる。

    →出火しても燃え方を建築側で制御する必要がある。

    →実験の条件ではRCでもSでも同じなので、内装木質化をすると同じ結果となる。

    ・破損した開口部から上階へ火炎が上がり延焼が起こった。

    ・延焼の恐れのある部分は階に応じて3~5mと設定されているが、これは一般の木造住宅が燃えたときのことであり、本実験では輻射熱の影響は30mの範囲まで確認された。

    ・卯建(うだつ)によって水平方向の延焼を防止する効果が確認できた。しかし、内部の防火戸が火災による圧力で開き防火壁を越して延焼が起こってしまった。

    ・1時間経つと内部の可燃物がほぼ燃え尽きてしまうため、倒壊しても周辺に大きな影響を与えないと考えられる。これが準耐火の1時間は倒壊に耐え、その後の倒壊は許容することの理由である。

    ・試験体の在来軸組部は構造用合板が燃え尽きて軸組みのみの架構のみとなったため倒壊した。

    ・接合部(ドリフトピン現わし仕様)から崩れた様子も確認できた。ドリフトピンは熱が内部に伝わりやすく、接合部耐力も低下する。

    ・3回目の実大火災実験は天井を石膏ボードにして行った。可燃物が少ないため、火炎が小さく、延焼する時間が長くなることを確認した。

    →天井が燃えにくい材料になるだけで燃える速さ、勢いが小さくなる。

    ・2回目の実大火災実験では壁を石膏ボード貼り、天井は準耐火木梁を現わしにして梁と梁の間を石膏ボードにして行った。また、外装にバルコニーや庇を設けた。

    →準耐火梁と石膏ボードの天井でも燃え広がるスピードを遅らせる効果があることを確認できた。今後この結果から、内装制限1/10の緩和につながると考える。

    →バルコニーや外周庇(出寸法1.5m)を出すと上階に燃え広がらないことを確認した。

  • 落とし込み板壁及びCLT壁の加熱実験について

・杉材の柱120角、30mm落とし込み板(杉板)、仕上げ杉板(45mm)貼りの壁の片側加熱実験を行った。33分加熱後、加熱側は850℃にもなるが反対側は1℃も上がっていない結果となった。

・厚さ150mmのCLTを120分片側加熱しても裏側は100℃まで達しない(燃えない)。

 →壁の加熱実験より、加熱側の木材は燃えるが、ゆっくり燃え、遮熱性が非常に高いことから防火壁になり得る。

  • 木材の燃焼と強度について

 

・木材も加熱すると強度・ヤング係数が低下する傾向がある。

・集成材の場合は接着剤も強度低下がみられる(熱可塑性がある)

 →レゾルシノール樹脂にするもしくは断面を上げることが必要である。

・AIJ防耐火委員会にて、火災後に木部材はそのまま使えるのかという検証を行っている。詳細は今後だが、ヤング係数は200℃程度までは低下なしという結果が見られている。

-休憩-

  • 防耐火に関する法律とその法律の要求について解説があった。

・火災成長期に関わるのは躯体ではなく仕上げ材であり、燃える内装は煙を出し、避難を妨げてしまう。内装制限は燃えてしまう仕上げを制御し、煙の量を制御する法律といえる。(避難安全)

・煙は1m/秒程度で上昇するため、3階建て以上の建築物には竪穴区画が必要になってくる。2階以下は窓等から飛び降りることができるため、不要とされている。

・火災最盛期は隣室や隣棟へ延焼しないことが必要であり、躯体が燃焼しても壊れず避難する時間は確保する準耐火構造、もしくは倒壊を許容しない耐火構造が求められる。これらは、地震が発生して消防隊がすぐに到着できないことを想定しているため、地震国日本特有で諸外国より厳しい規定となっている。

・2019年6月の法改正より「耐火建築物」が、「耐火建築物 または 同等性能以上の建築物」と緩和されたが、耐火建築物と同等性能以上とするためにかなりの設備が必要で、コストアップの要因になっている。現在、徳島県の「awaもくよん」が同等性能以上の建築物として該当する。

・準耐火構造(ロ準耐1号以外)および耐火構造は避難安全検証法を用いることで、内装制限を緩和できる。その他建築物は倒壊までの時間を担保できない構造のため、避難安全検証法を用いることはできない。火災時にその他建築物はいつまで自立していられるかは構造設計次第といえる。

  • 近年の法改正について解説があった。

①耐火時間の改正で90分耐火構造が登場した。25mm強化石膏2枚張り程度で対応可能である。

②部分的な木造化の規定は、耐火構造はすべての構造部が壊れないことを要求してきたが、一部(木造化した部分)が壊れることを許容した。ただし、鉄骨造は火災による熱の影響を考慮してNGのため、実質的にRC造の一部木造化に限られている状況。

③防火みなし別棟(S26別当通達が法令化)

 火熱遮断壁等が必要であり、鉄骨造は不可。

④その他いろいろ

  • 直近の中大規模木造関連の大臣認定・技術開発事例の紹介があった。

①WALC協会 木質パネルカーテンウォール 30分耐火構造壁

②木住協 小梁あらわし30分耐火構造屋根

③長谷萬 DLT(Dowel Laminated Timber 木ダボ接合積層材)

  • 準耐火建築物について注意点の説明があった。

・ロ準耐1号は煉瓦構造を想定(=壁勝ちの工法)している。そのため木造で設計する際は耐火構造の壁を貫通しないように耐火被覆勝ちにするディテールを採用する必要がある。

・耐火被覆勝ちで設計する方法として、耐火被覆の上からビス止めが挙げられる。ビスは熱橋の影響が小さい。

・金物周りの耐火性能を確認する実験を行われており、(株)カナイよりロ準耐1号用に金物が発売されている。

  • まとめ

 ・火災時の躯体の状況をイメージすることが肝要である。

・倒壊抑制は消防活動支援につながることを考えて構造設計を行ってほしい。

・意匠設計者に防耐火設計を教えるくらいで。

・火災時に注意してほしい構造・箇所として、不静定次数の小さいトラス、張弦梁や合わせ柱、梁、加熱される鉄と木の接合部などがある。部材が燃えたら、加熱されたらどうなるか考えてほしい。

  • 質疑応答

・1年前にできなかったことができている印象を受けた。情報に敏感になる必要がある。

・床と壁の燃え方、天井の凹凸、壁の傾斜などで燃え方に配慮することはあるか。

 →溝がついていると表面積が大きくなり不利側であるといえる。

・鉄骨造は床からの高さが4mを超える部材は耐火被覆をしないでよいが、木造も同じか。4mを超えるとやはり火の影響を受けにくいのか。

 →鉄骨のように仕様規定になってない。耐火性能検証法ルートCを用いて着火しない、もしくは着火しても燃え止まるなどを確認する必要がある。実際は5.5mほど床から離さないと検証法しても被覆を取ることは困難である印象。体育館は燃えるものが少ないため、耐火検証法を利用することが多い。

・動画を拝見することで法律が腑に落ちた。イ準耐は避難安全検証法を行うことで外せる規定があるか?

 →耐火性能検証法は耐火建築物向け、建物が倒れるか倒れないかの検証である。避難安全検証は避難に関しての検証で、排煙、歩行距離の緩和、内装制限を外せるなどメリットがある。木質内装に適用する例が増え始めている。ルートB2という新たな検証法も施行されて、内装を木質化しやすくなった。

次回 2025年4月8日 17:00~
以上(記録:佐々木)